きみが春なら

「それにしても、すごい制度だよな?王族は結婚相手を誰でも一方的に選んでいいなんて」

テーブルを拭きながら呟くと本当だよ、とケビーの声が返ってくる。

「時代錯誤もいいとこだ。俺たちは余所から来たからそう思うけど、この国の人達にとってはそれが普通なんだろ。ずっと昔から」
「明日発表で、一週間後に結婚式だろ。随分急だ」
「まあな」

王子の結婚相手の発表はもう明日だ。国中の店が営業停止となる為、俺もハルも仕事が休みになった。
そこまでするか、と思ってしまうのもこの国の生まれではないせいだろうか。

「断れないのかな。指名されたら」
「そりゃそうだ」
俺の疑問をケビーが笑う。

「これだけ絶対王政の国だぞ。大体、王族に選ばれるなんてこれ以上名誉な事は無いんだ。断る奴なんていないよ」
「そうか。そうだな」
「まぁ、俺が女なら絶対嫌だけどな?あんなワガママ王子の世話で一生を終えるなんて」
その言い草に苦笑した。どうも評判が良くない王子らしい。

「プリンセスが無事に決まれば、また客も戻ってくる。何にせよ早く終わってほしいよ」

ケビーは、カクテルグラスを照明にかざしながら言った。