……退屈だ。
大きな欠伸をひとつする。
目の前をうようよと魚のように泳ぐ女たち。
興味のなさを隠さずにいると、隣で家臣が慌てふためく。
「王子!もう少し真剣に見て頂きませんと」
「飽きた。全員同じ顔だ」
肘掛けで頬杖を突きながらそう返す。
「将来の奥方を選ぶ場なのです。もう発表まで十日しかないのですよ」
「だったらお前が決めていい。ルーレットでも、ダーツでも」
またひらり、と目の前を翻るドレスにげんなりする。着飾った女たちの色目で腹がいっぱいだ。
王族に産まれたばかりに、一定の年齢を過ぎたら妃をとらねばならなかった。
面倒で後回しにしていたのだがとうとう業を煮やした他の王族たちに焚きつけられ、勝手に結婚式の日取りを決められてしまった。
今夜も若い女たちが城に集まり、俺の目に留まろうと踊り狂っている。
「そ、そんな訳にもいかないでしょう」
「条件は俺の邪魔をしない女、それだけだ。後はどうでもいい」
父である現国王からこの国を引き継ぎ、いずれは俺が王となる。そうなったらもっともっと国を大きくしたい、という野望があった。
俺に言わせれば今の父のやり方は生温い。もっと全世界から羨ましがられ、強さにおいても豊かさにおいても一目置かれる国にしたかった。
俺は戦場が好きだった。
だから妃選びなんてものには一切興味が沸かない。
「ロレンツォ」
振り返ると、肩を怒らせた母が近づいてくる。
「いい加減になさい。何度パーティーを開かせれば気が済むのです」
……またややこしい事に。真面目に聞く気のない俺の態度に、母はますます声を張り上げる。
「早く一人にお決めなさい。皆さん上流階級のご令嬢ばかりよ。誰を迎えても恥ずかしくないわ」
ちっ、と舌打ちをする。母のこういうところが本当に嫌いだ。
たまたま父を射止めただけで毎日贅沢三昧。自分に家柄しか取り柄が無いからこそ、そこにこだわった物言いをする。
誰でもいいと思ったが少なくとも母のような女は選びたくない。
「申し訳ありません。近日中には必ず」
家臣が半泣きになりながら俺の代わりに頭を下げる。
── 将来の妃、か。
音楽に合わせ一斉にターンするたくさんの女たちを見回した。
……本当にいるのか?この中に。
大きな欠伸をひとつする。
目の前をうようよと魚のように泳ぐ女たち。
興味のなさを隠さずにいると、隣で家臣が慌てふためく。
「王子!もう少し真剣に見て頂きませんと」
「飽きた。全員同じ顔だ」
肘掛けで頬杖を突きながらそう返す。
「将来の奥方を選ぶ場なのです。もう発表まで十日しかないのですよ」
「だったらお前が決めていい。ルーレットでも、ダーツでも」
またひらり、と目の前を翻るドレスにげんなりする。着飾った女たちの色目で腹がいっぱいだ。
王族に産まれたばかりに、一定の年齢を過ぎたら妃をとらねばならなかった。
面倒で後回しにしていたのだがとうとう業を煮やした他の王族たちに焚きつけられ、勝手に結婚式の日取りを決められてしまった。
今夜も若い女たちが城に集まり、俺の目に留まろうと踊り狂っている。
「そ、そんな訳にもいかないでしょう」
「条件は俺の邪魔をしない女、それだけだ。後はどうでもいい」
父である現国王からこの国を引き継ぎ、いずれは俺が王となる。そうなったらもっともっと国を大きくしたい、という野望があった。
俺に言わせれば今の父のやり方は生温い。もっと全世界から羨ましがられ、強さにおいても豊かさにおいても一目置かれる国にしたかった。
俺は戦場が好きだった。
だから妃選びなんてものには一切興味が沸かない。
「ロレンツォ」
振り返ると、肩を怒らせた母が近づいてくる。
「いい加減になさい。何度パーティーを開かせれば気が済むのです」
……またややこしい事に。真面目に聞く気のない俺の態度に、母はますます声を張り上げる。
「早く一人にお決めなさい。皆さん上流階級のご令嬢ばかりよ。誰を迎えても恥ずかしくないわ」
ちっ、と舌打ちをする。母のこういうところが本当に嫌いだ。
たまたま父を射止めただけで毎日贅沢三昧。自分に家柄しか取り柄が無いからこそ、そこにこだわった物言いをする。
誰でもいいと思ったが少なくとも母のような女は選びたくない。
「申し訳ありません。近日中には必ず」
家臣が半泣きになりながら俺の代わりに頭を下げる。
── 将来の妃、か。
音楽に合わせ一斉にターンするたくさんの女たちを見回した。
……本当にいるのか?この中に。
