きみが春なら

「……ちょっと歪んでるんだよな。ここ」
ベッドの中で指輪をなぞる。
マメに磨いてくれているおかげで、それは今日も彼女の薬指で光っている。

「もっと上手く作れた気もするんだけど。時間も無くてさ」
「これがいい。宝物だから」

彼女の腕が俺の背中にまわる。まぁるい空気の中で、鼓動が混じり合う。

「なぁ。もう少し……あと少し生活が落ち着いたらさ、」
「……」
「あれ」

そっと体を離すと、君は安心しきった顔で眠りにおちていた。

── まぁいいや。
また今度言えばいい。
そのうち、俺もことんと眠った。


完全無欠に幸せだった。
引き返せないほど惚れていた。

君との毎日に
足りないものなんて、何にも無かった。