きみが春なら


作り終えた朝食をお皿に盛り付けていると。
「手を出して。」
近付いてきたイーヴァンにそう言われた。何も考えずに差し出した手を彼が見つめる。
「左か。ま、とりあえずいいか」
「なぁに?」
目を合わせ微笑んだ彼はすっ、と私の薬指に指輪を填めた。

「……え?」

うっすらピンク色にも見える、シルバーの指輪。中央にダイヤモンドのような石が光っている。

「言っておくけど、イミテーションでも盗品でもないぞ。俺が作った」
「つ、作ったの?これを?」
「あぁ。君にあげたくて」
「すごい」
「少し前に装飾品の工房に勤めてる奴と知り合ってさ。修行させてもらったんだ。なかなかだろ?」

華奢なデザインのそれを眺めているうちに
「すごく綺麗……ありがとう」
胸がいっぱいになってまたじんわり涙が浮かんでしまう。離れている間、同じように想っていてくれた事が嬉しかった。

「あなたを好きになって、何だか泣き虫になったみたい。恥ずかしい」

背を向け目元を拭っていると、そのまま後ろから抱きしめられた。
耳元で真剣な声がする。

「攫われてくれるか?今度こそ。俺に」

貰ったばかりの指輪に、そっと視線を移す。まだ自分の物じゃないみたいだ。

答えなんて初めから決まっていた。
だって、夢見て待っていたから。

あなたとの日々を
ずっと ずっと。


「……うん。」