きみが春なら

朝日がすっかり上った頃、二人でほぼ同時に目を覚ました。
ハルは慌てて体を離し、頭からすっぽりシーツをかぶる。
「ふ……服を着るから、向こうを向いていて」
「え?あぁ」
そういう事か。シーツの中の顔は真っ赤なんだろう。 

「別にいいだろ。昨夜だって散々見たし」
「そ!ういう問題じゃ、」
「冗談だよ。わかったわかった」

笑いながら彼女に背を向け、俺もシャツを羽織る。

「ん?」

胸ポケットに感じる小さな、でも確かな存在感。
外から触り輪郭を確かめる。
── そうか。ここに入れてたんだった。

「お腹空かない?何か作るね」
キッチンに立つ彼女をベッドに腰かけたまま見つめた。

「……」
胸ポケットを握りしめ、立ち上がる。


やっぱり、俺は
どうしても欲しい。

彼女との日常が。

ずっと続いていく、
こんな当たり前の生活が。