きみが春なら

「街中探したよ。ワゴンが見つからなくて。あんなデカい店になってたんだな」

焦がれ続けた声は
記憶の中のものより、少し低かった。

「……っ、」

あっという間に周りの景色がぼやけた。
握りしめた彼のシャツに涙が染みていく。


必ずこんな日がくるって、信じてた。
おかえりなさい、って笑顔で言おうと思ってた。
次に会えた時に話そうと決めていた事もたくさんたくさんあったのに、言葉はひとつも出てきてくれない。

「待たせて悪かった。」

少し日に焼けた。でも変わらない、優しい笑顔。
一年半ぶりの体温を感じながら
何度も何度も何度も、名前を呼んだ。

「会いた、かっ……」
「……うん。俺も」
「夢じゃない、の?」
「うん」

子どもみたいに泣きじゃくる私の背中を、あやすようにポンポン叩く。

「まだ持ってるのか。そんなチープな時計」
「あなたが言ったのよ。自分だと思って持ってろって」
「そうだな。そうだった」

微笑んだイーヴァンは私の頬に流れる涙を掌で拭う。


「ただいま。ハル」


体ごととろけてしまいそうな口付けの後で


「……おかえりなさい。」


やっと、笑ってそう言えた。