きみが春なら

「……ごめんね。ありがとう」

今度は冷静にそう言えた。二人で微笑み合う。
春は別れの季節だけれど、ここから友達になれる気がした。

「もう行かなきゃ。乗り遅れちゃう」
「うん。元気でね」
「……ねぇ。ハル」
アレクの視線が、私の左手に移る。  

「男物、だよね?その時計」

別れたあの日からずっと、私の腕にはイーヴァンの時計が填めてある。私でも使えるよう、機械いじりが得意なジルにベルトを調整し直してもらった。

「そう。預かり物なの」
「……」
「大きすぎるでしょ?でも、填めていたいの」

時計を見つめる私を見て

「……そっか。大切な人なんだね」

アレクは優しく笑った。