きみが春なら

彼女が部屋を出た後。再びベッドに体を横たえる。
自分の身に起きた奇跡としかいいようのない出来事に、心がまだ着地点を探していた。
俺の腕の中で君が見せた表情、漏らした声。滑らかな肌の感触も。
思い出すだけで目眩がする。
別れたそばから、もう会いたかった。

『今まで生きてきた中で、一番幸せだった。』

「俺も……」
甘い余韻の残るベッドで、何度も浅い眠りに堕ちた。



結局そのまましばらくうとうと過ごしてしまい、ようやく家に戻ったのは昼過ぎだった。

「どこ行ってたんだ、イーヴァン!?この大変な時に!」

血相を変え寄ってくるダニーを見てどこか離れていた意識がぱん、と戻ってくる。

「なんだ?どうした」
「昨夜。アーサーが捕まった」

息が止まるほど驚いた。嘘だ、と思った。
あのアーサーが、警察に?

「先日の襲撃の首謀者としてだ。まず間違いなく処刑される」
そして、とダニーが深刻な顔で続ける。

「これは古い馴染みの、警察内部に潜り込んでいる奴から聞き出したんだが。計画を扇動した仲間として……アーサーが君の名を挙げたそうだ」