きみが春なら

「やけに明るいな?あそこの空」

窓際に立ったダニーが外を見ながら呟いた。

「んー?火事か?」
「ふぅん」
「ちょっと見てくる」

ダニーが出て行った後も俺はソファに体を投げ、新聞に目を通したりして適当に過ごしていた。
よくやるよ、と思う。自分には全く関係のない話だ。

「いやいや。すごい野次馬の数だ」
割とすぐに戻ってきたダニーからは、微かに煙の匂いがした。
「早いな」
「あぁ、もう噂で持ちきりだったんでね。やはり火事だそうだ。どうも教会らしい」

周りの景色が凍りつく。

「な、に?」
「だから。ドゥーブル教会が……」
「燃えてるっていうのか!?」

ダニーが言い終わらないうちに、掴みかかる勢いで問いつめる。

「な、なんだ。どうし……」
気が付いたらそのまま家を飛び出していた。


── ハル、
ハル、
ハル。

心の中で
何度も何度も君の名を呼びながら走った。