きみが春なら

「ねぇ、いい加減起きて。私、本当に遅刻しちゃう」

太ももに痛みを感じてハッとする。起きあがった時には、大分頭がすっきりしていた。

「やぁっと起きた。」
呆れ顔でこちらを睨んでいるのは

「ポリーナ?なんで」
「どうでもいいけど。そろそろ手、離してくれる?」
なぜか握りしめていた彼女の左手を、慌てて離す。

「真冬にこんな所で寝てるんじゃないわよ。雪でも降ったら凍死よ」

いつもの調子で文句を言いながらポリーナが立ち上がる。花柄のワンピースの裾が揺れた。

── あれ?

「君だったのか?」
「なにが」
「最初からずっと?」
「そうよ。悪い?」

彼女と数秒見つめ合う。

「そ、か……そうだよな」

全部全部
夢、だよな。