「何言ってんだよ、散々俺の事馬鹿にしてきたくせに」
「していないわ。年下だけど、要のことはずっと尊敬していたもの」
「……尊敬?俺を?」
鼻で笑ったが、志乃は真面目な顔をしていた。
「小さい頃お母様がお亡くなりになって、誰にも弱音を吐かずにここまで頑張ってきたんだもの。そして御曹司として十分な活躍もしてきたでしょう?」
「……当たり前のことをしてきただけだ」
「私だったら悲しみに暮れて立ち直れなかったと思うわ……あんな亡くなり方……」
「その話はするな」
その時、背後から低い笑い声が聞こえた。
「へぇ……こんなところで朝比奈の娘とねぇ」
その声に振り返ると、そこに立っていたのは二人の男だった。
身なりはいかにも来賓客のような恰好をしているが、雰囲気がおかしい。
志乃が小さく眉をひそめる。
「……どちらさま?」
男はニヤつきながら側に寄る。
「アルティウス……と言ったらわかるよな?」
……こいつらだったのか。
アルティウスの残党は。
「お前らを呼んだ覚えはないが」
「ああ。昔はあんなに獅堂家と仲良しだったのに残念だねぇ、まさか裏切られるとは思ってもなかったがな」
「裏切る……?」
「あー、ぼっちゃんは知らねぇか。まぁいい」



