終わる世界で君と


「速報です。国際宇宙機関からおよそ1年後、直径100kmを越える隕石が地球に衝突する可能性がある小惑星が発見されたことが発表されました。その確率は80%にのぼるとされ、緊急対策本部を設置しました。」

ピッ。

「直径100kmとなると、恐竜が絶滅したとされる隕石の10倍ありますからねぇ…。人類どころか、地球の未来すら」

ピッ。

「直径100kmを越える」

ピッ。



いつも通りの日常。
いつも通りの静かな夜。
いつも通りが変わってしまうのはこんなにも一瞬なのだろうか。

4月の半ば。
中学校最後の3年生に進級し、多くの人は新しい環境に慣れてきた頃だろう。

いつもの日常は、これからあるはずの日常がこの一夜の発表にして崩れ去った。

テレビのチャンネルを変えても全部この話題で持ちきり。
アナウンサーの声と手が震え、パニックになっている番組もあった。

その反応が普通だろう。
残り数十年とあるはずだった人生が急に残り1年だと言われたらほとんどの人がパニックになる。

けど、私は嬉しかった。
生きる意味なんてわざわざ死ぬ理由もないことくらい。

でもこんな生活もあと1年で終わり。
久しぶりに嬉しさというものを感じた気がする。

思わず口元がにやるのを止められなかった。

これで明日が来るのが怖くない。
終わりが見えているだけでこんなにも頑張れるなんて。

自分ではないような自分の感情を抑え、眠りについた。