恋が生まれた日

4月、新年度となり紬は研修医2年目となった

医療行為をできるようになり、患者を救える嬉しさと達成感を感じる日々

時に未熟さを痛感させられることもあったが、勉強の苦労なんて紬にとって気にならないほどこの仕事は天職だと感じていた


そして今月からは紬が目標としていた産婦人科での研修が始まる

ドキドキとワクワクが入り混じる感情を胸に医局長室のドアを開けた


奥には医局長と思われる優しそうな男性

前のソファには白衣を着た医者が2人

軽く談笑していたようで笑顔が見える


「待ってたよ、座りなさい」


医局長が言う

紬は若い男性の医者の方に座る

続いて医局長が向かいのソファに座る


「全員集まったね

軽く自己紹介しようか

私は医局長の佐伯です」


失礼のないように紬は軽くおじぎをした


続いて紬の前に座っている医者が自己紹介する


「橘です」


その一言に思わず息を呑んだ

目の前の顔を見た瞬間ハッとする

それは向こうもそう思っただろう

同じように驚いた顔をしている


「なんだ君たち知り合いなのかい?」


医局長がそう言う

あのとき一緒にタクシーに乗った男性だったからだ

私が驚いて何も言えないでいると橘先生が「たまたま居合わせただけです」と答える

医局長はつまらなさそうな顔をしたが、紬に自己紹介をお願いする


「朝比奈です

よろしくお願いします」


そして紬の隣の医師も自己紹介をする

研修医1年目で木下先生と言うらしい


紬と木下先生の指導医が橘先生になるらしい


それを聞きたとき紬は恐怖でしかなかった

怖い印象しかない橘先生の前で下手なマネは許されない――そんな気がして先の研修がますます不安に思えた