どのくらいの時間が経っただろうか女性は呼吸が整い涙目を拭いている
「......ありがとうございます。
どのようにお礼をしたら良いのか」
女性は何度もお礼を言い、後日お礼をしたいので連絡先を教えて欲しいと尋ねた
だか、紬は断った
お礼が欲しくてしたんじゃない
理性の向くまま行った行動だ
「お礼は大丈夫なんで、今日はもう帰った方がいいと思います。
元気でいれたらそれで十分です」
女性は納得がいかない顔をしていたが紬に説得されトイレを後にした
女性のしっかりした足取りを見て紬はほっとした
と同時に手が震えていた
医者といえどもまだ1年しか経っていない
いつもは指導医が付いており1つずつ確認してから行っている
不安からなのか、達成感からなのか
紬には分からない
でもこれだけは分かったことがある
命と向き合うというのは
思っていたよりも重い
震えが止まったのを確認してトイレを後にする
長いこと籠り過ぎた
急ぎ気味で席へと戻る
その後ろ姿を、少し離れた場所から見つめる視線があった
ふっと、口元がわずかに緩む
