恋が生まれた日

「それでは、1年目お疲れ様でした〜」

 「「「お疲れまでーす!」」」


カチャンとグラス同士で乾杯する音が聞こえる

冷えたドリンクが喉を通りようやく肩の力が抜けた


 「いや〜、それしても1年長かった〜」

 「ほんとそう!学生の1年は短いのにね」


居酒屋の一角に男女4人が集まってお互いを労っている


 「ポリクリのときとは違って大変だよね。でも、医者になった実感はすごい感じてる」

みんなうんうんと頷く


そう話すのは去年の春から研修医として働き始めた朝比奈紬。

1年浪人して地元の医学部に入学した

学生時代はギリギリのこともあったがなんとか留年をすることなく卒業できた

そして同期にも恵まれた

今日はそんな同期達と1年目お疲れ様会を開いている


 「俺のとこの外科激務すぎてやばかった」

 「私のとこの内科にイケメンドクターいたの!」


みんなで集まるのは卒業式以来のため積もった話に花が咲く


盛り上がる中でも飲み物と食べ物の注文はかかさない

次々と運ばれてくる

そして鶏の唐揚げを頬張りながら同期の1人が

 「もう少ししたら先輩ら来るから」


 「え!イケメン来る?」


みんな嬉しそうにしているが、紬はあまり気が乗らないようだ

もともと人見知りが激しく、そこまで親しくない人との食事は胃が痛くなったこともある

せっかくだから4人で飲みたかったが、呼んでしまったものはしかたがない

なるべく遅く来て欲しいと願っていた