影の僕と光の君

それから春風は魔海の秘密を知る数少ない人間の一人となった
秘密を共有しているという事実が二人の間に微妙な変化をもたらす
「ねえ春風くん、ちょっと付き合ってよ」
ある日の放課後、魔海は春風に声をかけた
「…どこへですか?」
春風は少し迷いながらも魔海の誘いに応じる
「のんのんのん」
魔海は人差し指を軽く振る
「それもあるけどぉ…」
その瞬間、春風は息をのんだ
「僕の彼氏になって?春風くん」
「え…ひゃい…?」
春風は突然のことに頬を赤らめたまま固まってしまった
「ありがと、ずっと前から気になってて…」
二人は会話を育みながら賑やかなカフェに入った
魔海は昼間の彼に戻り笑顔で話しかける
「春風くんってさ、バスケ以外に興味ないの?」
「い、いえ、そんなことないです! 映画とか…」
「ふーん、意外」
魔海は春風の真っ直ぐな瞳を見てなぜか心が温かくなるのを感じた
帰り道、陽菜は春風の頭を優しく撫でた
「春風くんってほんと優しいよね」
不意打ちのことに、春風は固まる
「そんなことないです…」
彼の言葉に魔海はまた心の中で嘲笑う
こんなに簡単な男初めてだった
陽菜は、春風の真っ直ぐな瞳を見て以前のようにからかう気持ちにはなれない自分に気づく
「…じゃあね」
そう言って魔海はいつもより少し優しい声で別れを告げた
残された春風は陽菜が去った後もその場に立ち尽くしていた
彼の心の中は喜びと少しの不安でいっぱいだった