君に向かってまっすぐに。



「っ、」



言葉がつっかえて出てこない。

なに、これ・・・



「ケガは?」



彼は私の足元に視線を移して言った。
その顔には似つかない、少しだけ高くてハスキーな声。



「だ、大丈夫でしゅっ、」


やっと口が動いたと思ったら、盛大に噛んだ。

は、恥ずかしすぎる・・・



また目が合うと、

彼の口元が緩んで、



「よかった」
と、一言。



笑った・・・



無表情から一変したその柔らかな微笑みに、

ドッ、ドッ、ドッ、ドッ、
ますます鼓動が加速していった。



「じゃっ、」



彼はそう言いながらスッと立った。

さっきの笑顔が幻だったんじゃないかと思うくらい一瞬で、もとの表情に戻ってそのまま背中を向けて行ってしまった。



「っ、」



"待って"

そう言いたいっ、お礼も伝えたいっ!


でも、やっぱりまだ体が言うことを聞いてくれない・・・


初めての感覚とうるさい鼓動が邪魔して、
ただ彼の後ろ姿を見ていることしかできなかった。