カワイイは最強!〜地味子のカワイイ・プロジェクト〜



あの夢のような日から数週間後、【Sweet Girls】の最新号が発売された。


「この音夢っていう子が来てるワンピース超可愛いね!」


「皇月先輩や凛ちゃんと一緒に撮影できるなんて羨ましすぎる!」


教室で、いつものように如月さんを中心に盛り上がっている会話。


如月さん達が見ているのは、わたしが載っているページだ。


ピーターパンをテーマに、皇月先輩がピーターパン、凛ちゃんがウェンディ、そしてわたしがティンカーベルをイメージした服でポーズを決めている。


皇月先輩と凛ちゃんに囲まれて真ん中に映っているわたしはとても自分とは思えないくらい可愛くて、プロの人達の腕ってこんなにすごいんだって改めて感動した。


如月さん達も、まさか音夢がわたしだなんて思わないんだろうな……。

 
「あ、見て見て!6月に【Sweet Girls】主催のティーパーティー開催決定だって!」


如月さんが嬉しそうな声をあげた。


わたしも、発売前に【Sweet Girls】の出版社から送られてきた最新号の告知を見て気になってたんだよね。


都内のホテルにある宴会場で、【Sweet Girls】の人気モデルさんと一緒に過ごせる読者イベントらしいんだけど。


30名限定だから、きっとすごい競争率になるんだろうな⋯⋯。


「参加すれば、凛ちゃんにも皇月先輩にも会えるんだよね」


「妃花ちゃん、応募してみなよ」


「うん、そうする!」


早速盛り上がってる。


わたしも行ってみたいけど、如月さんに会うのはイヤだな⋯⋯。


また何かイヤミとか言われそうだし。

応募する勇気がないまま数週間が過ぎたある日。


授業を終えて家に帰ると、ポストに何通か手紙が入っていた。


誰もいないリビングで、届いた手紙を確認する。


どうせいつも届くどうでもいいダイレクトメールばかりだろうと思っていたら、1通だけ真っ白で少し厚みのある立派な封筒が混ざっていた。


まるで何かの招待状みたいだけど、お父さんかお母さんの仕事関係の手紙かな?


そう思って宛名を確認すると…“月島 美夢様”と書いてあった。


わたしに届いた手紙みたいだけど、いったい誰から⋯…?


心当たりがなくて不思議に思いながら差出人を確認すると、“乙女の森社”と書かれていた。


“乙女の森社”って…【Sweet Girls】の出版社だ。


でも、出版社が一体なんでわたしに手紙を…?


心当たりがないまま封を開けると、目に飛び込んできたのは…


『Sweet Girls主催 ティーパーティー招待状』
という言葉だった。


「月島 美夢様。この度、6月15日に当社が開催するティーパーティーに特別ゲスト様としてご招待致します。当日は招待状をお持ちのうえ、ご来場下さい」


手紙の文面を声に出して読み上げてみる。


ちょっと待って…特別ゲスト様って…どういうこと?


そもそも、なんで応募もしてないのに招待状なんて…。


と、そこでふと思い当ることが。


もしかして…この前【Sweet Girls】の読者コーナーに載せてもらったから…?


でもティーパーティーに行くっていうことは、ドレスコードがあるわけで…普段着じゃダメなんだよね。


「Sweet Girls」の服は大好きだけど、わたしには似合わないし、金額的にも高くて買ったことがないから、持ってないんだよね…。


唯一、去年親戚の結婚式のために買ってもらったワンピースくらいしかないんだけど…それでもいいのかな…。


でもわたし、メイクも自分で上手くできないし…。


この前は全て【Sweet Girls】のスタッフさんがやってくれたから良かったけど。


そう考えると、やっぱりやめた方がいいような気がする。


せっかく招待してもらっているんだし、普通に応募したってなかなか当たらないイベントだから、本当はすごく行きたいけど…。


どうしよう…。


招待状を見つめたまま、わたしは行くか行かないか決められずにため息をついた。


翌朝、日直当番になっているわたしは日誌を取りに職員室へ向かった。


「失礼しました」


日誌をもらって教室へ向かおうとした、その時。


「あれ、美夢ちゃん?」


突然後ろから名前を呼ばれた。


この声はもしかして…


「天野先輩?」


振り返ると、予想通り生徒会副会長の天野先輩がいた。


「この前の雑誌、見たよ。いい出来だったね」


「…ありがとうございます」


「あ、そういえば招待状届いた?」


「…え…?」


なんで天野先輩が知ってるんだろう…?


疑問に思っていると、


「ちょっとだけ時間いい?」


天野先輩がそう言って、職員室のすぐ隣にある進路指導室へ入った。


まだ朝早い時間だから、中には誰もいない。


「お茶会の招待状、届いた?」


中に入るなりもう一度そう訊かれて、やっぱりあの招待状のことだと確信する。


「届きました」


「あれ、七星が美雲さんにお願いしたんだって」


「え?」


なんで皇月先輩が?


「カワイイ・プロジェクトに参加するためのミッションだって」


「ミッション?」


「そう。この前の読者コーナー、読者から評判良かったみたいだから、美夢ちゃんが参加するならまたドリームチームが協力してくれるってさ。どうする?」


どうするって言われても、どうしたらいいんだろう。


この前の撮影はとても緊張したけど、可愛い服を着てメイクをして違う自分になれた気がして嬉しかった。


だけど、如月さんも参加するかもしれないイベントだし、もしもわたしだってバレたら…⋯。


「あ、ちなみに美夢ちゃんいじめてた子は落選したらしいよ」


「え、なんで知ってるんですか!?」


「企業秘密」


そう言って天野先輩は人差し指を唇にあてて微笑んだ。


「だから、安心して参加できるよ」


「……」


どうして天野先輩も皇月先輩も、こんなわたしのためにここまでしてくれるんだろう…⋯。


と、その時廊下から話声と足音が聞こえてきた。


壁にかかっている時計を見ると、朝練も終わってそろそろみんなが登校してくる時間になっていた。


「じゃあ、そういうことだから。考えておいてね」


そう言うと、天野先輩は先に指導室を出た。


「え~落選しちゃったの!?」


教室に入ったとたん、聞こえて来た声。


視線を向けると、如月さんの席の周りに取り巻きの女子数人が集まっていた。


「うん。昨日の夜に当落メール届いたんだけど、落選しちゃった。凛ちゃんと皇月先輩に会いたかったのに~」


輪の中心で如月さんが悔しそうに言った。


ってことは、さっきの天野先輩の話は本当だったんだ。


「そういえば月島さんも皇月先輩と凛ちゃんのファンだったよね?」


そう言って取り巻きのひとりがわたしの方を見てきた。
とたんに、他のクラスメートの子達までがわたしの方に視線を向けてきて。


小声で「え、そうなの?」「あの地味子が?」なんて囁き合ってるのが聞こえる。


「月島さんも応募したんじゃないの?」


「もしかして当選したとか?」


興味津々の瞳でそう言われたけど、もちろん本当のことなんて言えるわけがない。


「…わたし…応募してないから…」


消え入りそうな声でかろうじてつぶやくと、

「だよねぇ?だいたいドレスコードで着ていく服なんてないだろうし」

如月さんが明らかにバカにしたような言い方でそう言うと、周りからクスクスと嘲笑が聞こえてきた。

やっぱりわたしが参加するなんてバレたら大変なことになりそう…。

でも、“音夢”になればわたしだってあんな風に変われるんだ。

せっかく皇月先輩がくれたチャンスを無駄にしたくない。

そして、如月さん達を見返したい。

もう一度あの夢のような時間を過ごしたい。

そう思ったわたしは、お茶会に参加することを決めた。


☆ ☆ ☆


6月15日、お茶会当日。


梅雨の合間の晴天は、まるでわたしに“頑張れ”と言ってくれているみたい。


時刻は午後1時。目の前には乙女の森社の事務所がある大きなビル。


いざ、夢の世界へ!


気合を入れて一歩足を踏み出すと、自動ドアが開く。


「いらっしゃいませ」
 

中に入ると優しそうな女性が出迎えてくれて、わたしは届いた招待状を出して見せた。


「それでは、こちらへどうぞ」


案内されて通されたのは、応接室らしき立派な部屋。


シンプルだけど高そうな黒い革張りのソファと、これもまた高そうなテーブル。


いかにもザ・ビップルームって感じがするけど、わたしなんかが入っていいのかな…⋯。


「担当を呼びますので、おかけになってお待ちください」


「あ、はい…」


言われてソファに座ると、ふかふかで座り心地が良かった。


少しして、ドアをノックする音が聞こえた。
 

返事をしてドアが開くと、


「音夢ちゃん、いらっしゃい! 来てくれてよかったわ」


美雲さんが嬉しそうな笑顔でそう言って部屋に入ってきた。


美雲さん、今わたしのこと“音夢”って呼んだ…?


「今からもうあなたは“音夢”よ。さぁ、早速支度しましょう」


美雲さんに案内されてやってきたのは、たくさんの洋服が飾られた部屋。


どれも乙女の森社が出版しているファッション雑誌の服だ。


もちろん【Sweet Girls】で使われてる姫ロリータ系の服もたくさんある。


「あ、これ可愛い!」


パステルカラーの水色を基調に、クッキーやマカロンなどのスウィーツやティーポットが描かれたワンピース。


お揃いの色と柄で靴下とリボンカチューシャもある。
まさに“お茶会”をイメージした服。


「気に入った? じゃあ、それにしましょうか」


「え?」


美雲さんは、わたしが見ていたワンピースを手に取ると、部屋の奥にある試着室らしき場所へ向かった。


つまり、これを着てお茶会に参加していいってことだよね…。


着替え終えると、美雲さんに案内されてまた別の部屋へ。


「音夢ちゃん、よろしくね」


前回もメイクをしてくれたヘアメイクさんが笑顔で声をかけてくれた。


「今日はワンピースに合わせてアリス風メイクにしようか」


そう言ってわたしを椅子に座らせると、手際良くメイクを始めた。


「はい、出来上がり!」


声を掛けられて目の前に映る自分は、いつもより大きくてキリッとしたクールなネコ目になっていた。


でも、唇や頬は甘いピンクを使っていて、可愛らしさもある。


「音夢ちゃんの顔にはアリス風ピュアメイクよく合うね」


「ホントですか?」


「うん。すごく可愛い」


“可愛い”なんて言われなれてないから、恥ずかしいな…。


「行ってらっしゃい!」


ヘアメイクさんに背中を押されて部屋を出ると、向かい側の部屋で待っていてくれた美雲さんに声をかけた。


「変身完了ね。それじゃあパーティー会場へ行きましょうか」


エレベーターで地下1階へ降りると駐車場があって、美雲さんに助手席に乗るよう案内された。


車で会場まで行くんだ⋯…。


確かに、この格好で電車移動なんてしたら注目の的だよね。


運転席に乗った美雲さんは、わたしがシートベルトをしたことを確認すると車を発進させた。


カーステレオから、今人気のアイドルソングが流れている。


あ、この曲わたしが好きな曲だ。


心の中で歌いながら流れる景色を眺めていると、15分ほどで会場となるホテルへ到着した。

関係者用の裏口から中に入って、控室へ向かう。


「失礼します」


美雲さんと一緒に控室の中へ入ると、すでに皇月先輩と凛ちゃんが楽しそうに話していた。


「美雲さん! おはようございます」


「おはよう」


凛ちゃんに笑顔であいさつを返す美雲さん。


「音夢ちゃんも来てくれたんだね」


「…え…」


凛ちゃんに名前を呼ばれて、ビックリ。


わたしのこと、覚えてくれていたんだ。


「その衣装、すごく可愛い!音夢ちゃんに合ってる」


「あ、ありがとう…」


思いがけない褒め言葉に、嬉しいのと恥ずかしいのとでお礼を返すのが精いっぱい。


この前も思ったけど、凛ちゃんってすごく気さくな子なんだな。


モデルさんって、もっと気取っててキツイ感じなのかなって思っていたけど、凛ちゃんは全然違う。


「ちゃんと来たんだな。すっぽかすかと思った」


皇月先輩が安心したようにそう言った時、控室のドアをノックする音が聞こえて。


「そろそろ準備お願いします」


ドアが開くと同時に、スタッフさんらしき人が顔を覗かせてそう言った。


「行こうか」


皇月先輩を先頭に、3人で控室から会場へ向かう。


扉の前で待機していると、

「それでは、早速スペシャルゲストをお呼びしましょう!どうぞ!」

マイクを通した司会の声と歓声が聞こえて来た。


その言葉を合図に扉が開かれて会場の中へ入ると、さっきよりさらに大きな歓声に包まれた。


「モデルの皇月 七星くん、夜咲 凛ちゃん、読者モデルの音夢ちゃんで~す!」


司会の人が紹介すると、

「七星く~ん!」

「凛ちゃ~ん!」

ふたりの名前を呼ぶファンの子達の声が響いた。


わたしは、そんなふたりの横でただ立っていることしかできない。


会場の子達の「あんた誰?」っていう視線を感じて、ますます緊張してしまう。


「大丈夫だから、堂々としてな」


皇月先輩にそう小声で言われて、ハッとする。


わたしが緊張していることに気づいてくれたんだ。


先輩のさりげない言葉が嬉しくて、わたしは一度深呼吸をすると、まっすぐ顔を上げた。


目の前には、雑誌や絵本から飛び出してきたような可愛い服を着た女の子達。


天井にはきらめくシャンデリア。


テーブルに並べられた美味しそうなお菓子。


憧れていた大好きなキラキラ輝く世界が目の前に広がっていて、まるで童話のお茶会に迷い込んだような気持ち。


せっかくこんな素敵な場所にいるんだから、楽しまなくちゃ。


今のわたしはガリ勉地味子の美夢じゃなくて、“音夢”なんだから、大丈夫。


そう思ったら不思議と緊張が和らいで、心がふっと軽くなった。


「まずは3人の衣装をご紹介しましょう! 凛ちゃんはPinky Candyの新作ワンピースを着てくれてます」


司会の人の言葉に、改めて凛ちゃんの衣装を見る。


黒いギンガムチェックに、ケーキと蝶々型のクッキーの柄が描かれている清楚で爽やかなイメージのワンピース。


甘すぎないちょっとクールな雰囲気で、凛ちゃんによく似合っている。


「七星くんは、今年の春から立ちあがった男の子向けブランド“king sing(キングシング)”の王子様スタイルで決めてくれてますね」


皇月先輩は、まさにおとぎの国から抜け出した王子様のような衣装。


黒いシルクハットとクラウンのネックレスがアクセントになっていて、さらに王子様感を醸し出している。


「そして最後は大好評読者コーナーモデルの音夢ちゃんです!今日の衣装のポイントはなんですか?」


「え? えっと…」


突然訊かれてビックリして一瞬言葉に詰まる。


どうしよう。こんなこと訊かれるなんて予想してなかった。


焦りながら思わず皇月先輩の方へ視線を向けると、

「今日はアリスのお茶会をテーマにしたみたいですよ」

そう言ってフォローしてくれた。


「ああ、なるほど!確かにワンピースの絵柄もティータイムらしくて可愛いですね」


司会の人がそう言うと、

「可愛い!」

「いいなぁ~あのワンピース欲しい!」

会場の子達からそんな言葉が聞こえてきた。


良かった。うまくやり過ごせたみたい。


皇月先輩のおかげだ。


それからわたしは美雲さんに案内されて別の席へと移動して、凛ちゃんと皇月先輩がトークショーをしながらのティータイムが始まった。


「凛ちゃんと七星くんには、事前に募集していた質問に答えてもらいましょう!
まずは一番多かったこちらの質問。“モデルになろうとおもったきっかけはなんですか?”ということで、まずは凛ちゃんからお願いします」


「わたしは、実は小学生の頃かなり太ってて、それがコンプレックスで。学校でもいじめられてたんです。でも、テレビで同じように太っていて悩んでいる女の子がエステやメイクのプロの人達の協力で別人のようになったのを観て、わたしも頑張ればあんな風に変われるのかなって思って。それから本気でダイエットを始めて、メイクも雑誌をたくさん見て練習したりして、そしたらどんどん楽しくなってきて。小学校卒業の記念に思い切って【Sweet Girls】の読者モデルに応募したら合格したんです」


初めて凛ちゃんのモデルデビューのきっかけを知って、ビックリした。


こんなに可愛くて気さくで優しい凛ちゃんが、昔は太っていていじめられていたなんて、信じられない。


一生懸命自分で努力して頑張って今の凛ちゃんがいるんだ。


「今の凛ちゃんからは想像できないけど、深イイお話ですね~。では、七星くんはどうでしょうか?」


「僕は、小さい時人見知りがひどくて、友達が全然できなかったんですよ。それを親が心配して、習い事として子供向けのタレント養成所に入ったんです。それで小学5年生の時にオーディションに受かってデビューが決まりました」


皇月先輩も、そんな過去があったんだ。知らなかった。


入学式のときに生徒会長として挨拶していた時、落ち着いて堂々としていて、すごいなぁって思っていたけど。


それは人見知りを克服して得たものだったんだ。


華やかで眩しい世界の裏には、わたしたちが知らない努力や涙があるんだ。


皇月先輩と初めて話した時、「わたしなんかって言うな」って言われた意味がよくわかった。


何もしないで自分を卑下してるだけじゃダメなんだ。


自分で変わる努力をしなくちゃ、周りも変わらない。


だから…皇月先輩はわたしをカワイイ・プロジェクトに参加させようとしてくれたのかな。



そうだとしたら…わたしも、もっと頑張りたい。変わりたい。


今のふたりの話を聞いて、初めて思った。


“カワイイ・プロジェクトで優勝したい”…って。


それからもふたりへの質問は続き、トークショーが終わったあとは会場に来ている人達との撮影会が始まった。


凛ちゃんと七星くんだけだと思ったら、なんとわたしも記念撮影のメンバーになっていて。


わたしと一緒に写真を撮りたい人なんて誰もいないんじゃないかな…と思ったけれど、予想以上にたくさんの人が声をかけてくれて。


中には「ファンになりました!握手して下さい!」なんてキラキラの笑顔で言ってくれた子もいた。


そして最後には全員で記念撮影をして、約2時間のお茶会はあっという間に幕を閉じた。


「お疲れ様でした」


控室に戻ると、一気に緊張が解けて体の力が抜けた。


放心状態で椅子に座ったわたしに、

「お疲れ。よく頑張ったな」

皇月先輩が声をかけてくれた。


「最初はガチガチで心配だったけど、最後はちゃんとポーズも決めててサマになってたよ」


「ホントですか?」


「ああ。今日のミッションは合格!」


「ありがとうございます!」


良かった。皇月先輩に認めてもらえた。


「ねぇ、ミッションってなになに!?」


わたし達の話を聞いていた凛ちゃんが興味津々の目で尋ねてきたけど、


「ふたりだけのヒミツ」


皇月先輩がそう言って笑った。


「わたし、優勝できるように頑張ります!」


わたしがそう言うと、


「よし、頑張れ!」


先輩は笑顔でわたしの頭を軽くぽんと叩いた。