恋は手のひらの上で

椎名さんは微笑んだ。
その笑みは、もちろん茶化すものではない。
むしろ、とても真剣にうなずく。

「ですよね。だからこそ、価値があります」


その言葉が、やけに優しい。そして一瞬、言葉の意味を考える。

“怖かった”けど、ちゃんと自分で決断した。
だから価値がある。


椎名さんは画面の“3,000”を見つめて、ほんの少し目を細める。

「これで、同じ目線で戦えますね」

彼の横顔は他のひとに比べて淡く、薄く、そして聡明。

そんな彼の言葉に、鼓動がどきりと跳ねる。


“守られる側”ではなく、“並ぶ側”。
私はそっとキーボードに触れた。

2,800が消えて、3,000がそこにしっかりと定着する。

その数字を見ている椎名さんの横顔は、どこか満足そうだった。