恋は手のひらの上で

CPA六千八百円。

上代二千八百円。
…それとも、上代三千円。
数字が、整列したまま動かない。

「西野さん」

と、声をかけられてハッと顔を上げる。
椎名さんの声は近くから聞こえた。

「少し、整理しますか?」

彼はいつの間にか、向かい側ではなくすぐ近くにいた。
伺うような聞き方は、おそらく私が悩んでいるのを分かっていての声がけだ。

「…はい。お願いします」

私が小さくうなずくと、彼は私の隣のイスを引き、そこへ腰を下ろした。
隣に座るのは、ここまで距離が近いのは、初めてだ。


あんなに大きくて広いと思っていた会議室に、二人だけ。
窓の外の午後の光が白かったはずなのに、少しずつ夕方に向かっているのか、テーブルの端をオレンジに近い色で照らしていた。