《第1ゲームのペアは、東山いのり様と、麻倉万桜様です。》
私――東山いのりは、思わず肩を落とした。1発目だし、麻倉万桜とはろくに話したことがないのに。
《前へどうぞ。ステージ右手のブースにお入りください。時間は限られております。》
のろのろと体を動かし、狐面が誘導するステージ右手のブースに向かう。その後ろを、麻倉万桜がついてくる。
私がブースに入り、麻倉万桜がブースの扉を閉めると、狐面の自動音声が冷静に指示を飛ばす。
《東山いのり様でも、麻倉万桜様でも、どちらでも構いません。ブース中央のクローシュをお開けください。》
「どうぞ…」
一歩下がると、麻倉万桜が無言でクローシュを開けた。
テーブルに置かれたクローシュがかしゃんと軽い金属音を立てる。
その瞬間、横一列に並んだ飴玉の上に黒い文字列が浮かび上がった。
左から自分が『失格』になる飴、その隣に何も起こらない飴、さらにその隣に相手が『失格』になる飴、右端に2人が『失格』になる飴。
よく知らないクラスメイトを、私の独断で『失格』にするのは倫理に反する気がするし、自分は『失格』になりたくない。
私は、左から2番目の『何も起こらない飴』をつまむ。
「東山さん、どうするの…?」
麻倉万桜が、震える声とすがるような目で私を射抜いてくる。
どうするもなにも、よく知らないクラスメイトを『失格』にしたくないし、自分も『失格』になりたくないので、手元の『何も起こらない飴』の包み紙を外し、口の中に入れた。



