「1時間目は日本史です。きちんと準備しておきましょう」
朝のSHRを終え、低い位置で髪を束ねた担任がファイルボックス片手に教室をあとにする。
「紫陽、日本史のレポートやった?」
「やった。陽花は昨日ゲームしてたからできてないでしょ?」
2年3組の喧騒の中で、宮坂紫陽と宮坂陽花の会話はやけに大きく聞こえた。
一卵性双生児である2人は顔立ちこそそっくりだが、落ち着いた性格の姉の紫陽と、底抜けに明るい陽花は合わせ鏡のような存在で、教室でも静かに光っているような気がする。
何の個性も光もない私にため息を落とすと、教室の前方からどっと笑いが上がった。
神崎玲愛、百瀬苺花、西園寺花蘭の3人――スクールカーストでは『1軍』の生徒たちが、私たち『2軍』とは到底違う、目が眩むような輝きを放って笑っている。
『1軍』がいるその空間と私がいる場所の間に、薄くて越えられない透明のベールが張られたように感じた。



