『琴音、あんた、最っ低』
恨みたっぷりの声でそう言い放った橘有紀が、体育館のスクリーンの中で失格になり、うちは心の中で恐怖に震えていた。
「苺花、コレやばくね?」
他の生徒たちは全身から恐怖心を発しているけど、うちがそうしない理由は、右にいる西園寺花蘭の存在だった。
誰もが認める『1軍』である花蘭の横にいる【百瀬苺花】は『1軍』だけど、単体でのうちは『1軍』ではない。
劣等感から俯いて指を絡ませていると、《第4ゲームのペアを発表いたします》という声で我に返った。
《第4ゲームのペアは、百瀬苺花様と、紅倉朱莉様です。》
「えっ」
こんなに早く呼ばれると思っていなかったので、思わず変な声が出てしまった。
「まーいか」
私の左隣に座っていた玲愛が、いつも通り愛らしい声で私の腕をつかむ。
「頑張って」
うちは何とか無言で頷き返し、恐怖を心の奥に押し込めながら体育館の奥のブースに向かった。



