「バ先の大学生の先輩、イケメン過ぎ。目の保養オブザイヤーだわ」
「そーなの?写真見せてよ」
窓際の席で雑談に花を咲かせる神崎玲愛と百瀬苺花を横目に、私は窓際の前から4番目の席に座った。
図書室で借りた文庫本を読んでいると、「朱莉、おはよ!」と、親友の吉野想愛が声をかけてきた。
「おはよー」
想愛に返答すると、後ろから肩をつかまれる。
振り返らなくてもわかる。染井純夏だ。
「びっくりしたー。あ、純夏。リップの色変えた?」
「さっすが朱莉。人生初の青みピンクだけど、似合ってるかな?」
私――紅倉朱莉、吉野想愛、染井純夏は聖アイリス学園2年3組のクラスメイトであり、仲良し三人組だ。
雑談に花を咲かせる想愛と純夏からさりげなく目をそらして、教室に入り口に視線をスライドさせる。
ちょうどそこで教室に入ってきたのは、棚川茲奈だった。
木の棒のような手足に無駄に長い前髪、猫背気味な姿勢も相まってクラスで孤立している。
棚川茲奈が私たちの右を通って間もなく、始業を告げるチャイムが教室に鳴り響いた。



