銀杏並木の毒舌な隣人たち

 小鳥は毛づくろいをしながら、カゴの外にいる麻美子を見下すように言った。

「貴方はかわいそうね。これからも生きるために、働き続けなきゃいけない。起きて働き、寝るだけ。それの繰り返し……。それに比べれば、私はとても贅沢よ」

 麻美子は、あまりにも自分勝手で狭いその理屈に、思わず鼻で笑ってつぶやいた。

「……何が贅沢よ。あんた、カゴの中じゃない。どこにも行けないじゃない」

 自由を失っているくせに。そう突きつけた麻美子に対し、小鳥は羽を激しく震わせ、鋭い声で言い返した。

「うるさいわね、フラれた女!」

 その言葉の礫(つぶて)に、麻美子はのけぞった。

「なっ……なんて失礼な鳥なの」

「私を憐れむ暇があるなら、自分の心配をしたらどう? 私は守られているけれど、あんたは外で独りぼっちじゃない。自由なんて、ただの『放り出された寂しさ』の言い換えでしょ?」

 言い返そうとしたが、言葉が詰まった。小鳥の言う通り、今の自分は「自由」という名の孤独の中に放り出されただけのように感じたからだ。

 言いようのない苛立ちと虚しさを抱えたまま、麻美子はそこを離れた。