過つは彼の性、許すは我の心 肆



 手指が冷たい。

 ちゃんと室温調整されている病院の個室なのに。


「大丈夫か?」

「…大丈夫よ」


 私の強がりを見抜くカズミ手指を包んで「大丈夫上手く行く」と鼓舞する。

 顔は笑えないぐらい包帯とガーゼ塗れなのに、やはり長年一緒に私に寄り添ってくれているカズミを見ると安心してしまう。

 これから相手にする人達は、私が今まで相対した中で1番の強敵。

 でもこれを上手く行かせなきゃいけない。

 それが私が出来るーーー…。


「話を聞かない人達じゃないだろう」


 カズミの声にハッとする。

 確かにあの子を見ていて、話を聞いていれば分かる。

 今までがよく我慢していたぐらい。


「ええ…でも今回は事情が違うわ」

「…」


 ハジマリから言ってナイフで刺されていたのに、今回は特に事件性も高く、周囲にも波紋が広がっている。これで温かく見守るなんて普通だったら出来ないだろう。

 本当なら両親引き連れて土下座でもしないといけないけれど、今の私は病床から身体を起こすのが精々。

 死の象徴たる男が私の元を離れて直ぐ具合を悪くしてしまったせいで、外出も困難だし、兄ともろくに話せていない。

 そう言えば兄も襲われたらしかったが、一発殴られて気絶しただけらしく、一緒にいた運転手が精神的に疲弊して未だに入院しているしい。