文啓兄さんが息を詰めるのを気配で感じた。 「生かすのか、失うのか」 身体が震える。 人の命を弄んだ僕への罰か。 何故僕に、僕なんかに…。 気が触れそうになるが、決めなければならない。 宿った命(・・・・)の為に僕がすべき事はーーー…。 「紅葉」 硬い表情の兄さんの声に視線を上げる。 緊張と信じられなさを混ぜた兄さんの顔。 兄さんは残酷な事実を。 言葉として、 「お前ーーー」 現実に、 「ーーー妊娠しているのか」 顕現させた。 匡獅が居ない現実に慣れる前に、避け様のない真実が僕を…私を襲った。