「私達を守ってくれる人はもういない。だったらって…」
妃帥ちゃんがそう言う考えになるのも仕方ないと思ってしまった。
何も知らない人達からすれば、他人を傷付けてまでなんて思うのかもしれないけれど、私ならどうしていた?
もし弟がそんな目に遭っていて、誰にも助けを求められないと分かったら、妃帥ちゃんの様にしていたんじゃない?
無関心な家族の中で外部にすら助けを求められない子供達が、自分達で戦う事を選ぶ。
一体誰が責められるのだろう。
時々小さな頃の妃帥ちゃん達を思うと、何で傍に居れなかったんだろうと思ってしまう。(居た所でどうにもならなかっただろうけれど)
それでも誰か1人でも彼等の傍に居てくれる人が居たらと、そう思わずにはいられなかった。
「でも、」
妃帥ちゃんが顔を上げて私を見た。
息が止まりそうになる。
どうしてそんな顔を…。
泣き笑いの様な顔なんだけれど、私を見る目は慈愛に満ちたモノが込められていて、困惑した。
獅帥君以上に感情を顕にしない妃帥ちゃんが気持ちを曝け出してくれているからか、何故だかソワソワと落ち着かない気持ちにさせられる。
「笑っちゃうわよね」
花の様な唇から、妃帥ちゃんが言葉を紡いだ。



