その理由についての明確な答えはなかったが、
「…俺も見ない振りをしたんだ。綴が無理している事を無意識に気付いていたのに自分を守る事を選んだ」
自分が目を逸らした事実について、嘘も脚色もなく伝えてくれた。
「綴が居れば俺は安心する事が出来たから」
「獅帥君…」
自分の思いを語る事を許されなかった彼の本音。
ああ…また胸が苦しい。
獅帥君から感情が溢れ出て、私にまで流れ込んで来る感覚が止まらない。
そして、
「俺等を見捨てた奴等と同じ事をして、ボロボロになる綴をただ見ているだけ…俺は酷い奴だよな」
「そんな事ない!」
尚も自分を貶める様な言い方をする獅帥君を思わず遮った。
「私が望んで傍に居るって決めた!だから獅帥君達は何一つ悪くない!覚悟が出来ていなかった私のせいだから、」
獅帥君達は悪くない。
そう続けようとして、
「ーーーいいえ悪いのは私達よ」
いつの間にか食堂に現れた妃帥ちゃん達に否定された。
「妃帥ちゃん…」
車椅子に乗った妃帥ちゃんとそれを押すカズミさん、って。
「どうしたのカズミさん!?その顔!」
「今はカズミの顔なんてどうでもいいのよ」
「よくないよ!?」
「惣倉だろう」
獅帥君の言葉にそうだと思い出す。
惣倉君がこのお屋敷に侵入して一悶着あったと木野島君が言っていた。



