獅帥君達に傍に居続けると、約束したのに。
自分の情けなさと愚かさ。
2つが涙に濡れた視界の先に居る獅帥君を歪める。
「うっ…うっ…」
私の泣く声だけが響くのがまた更に虚しくなる。
すると、
「っ…何」
目尻に何が触れる。
「…し、すい君?」
細く長い指先の持ち主が私の涙を拭った。
視界が明瞭となり、獅帥君の顔が見えた。
熟れた柘榴の様な唇が動く。
「綴、謝るのは俺の方だ」
「え…」
恐らく呆けた表情である私の顔を見て、苦笑いする獅帥君。
眉尻を下げるその表情は、いつもの王様然とした獅帥君しか知らなかったら驚くだろう。私でもそんなに多くないから、思わず涙も止まる。
傍に居る輝咲ちゃんも目を丸くしているからよっぽどだ。
そして、
「惣倉に殺され掛けた時、」
「ええ!?」
更に衝撃的な事を言った。
惣倉君に殺され掛けた時?え、何があったの?惣倉君何したの?
私の心配を他所に獅帥君は「怪我らしい怪我はしていない」と首を振った。
「そっか…」
怪我して入院している間もお見舞いに来ていたし、惣倉君が本気出したら獅帥君だって無事じゃあ済まないだろう。
ホッとしていれば、
「“お前を今此処で殺さない理由をよく考えろ”って言われて殴られた」
殺さない理由?
不思議な惣倉君の問い掛けに首を傾げる。



