過つは彼の性、許すは我の心 肆



 獅帥君達に傍に居続けると、約束したのに。

 自分の情けなさと愚かさ。
 
 2つが涙に濡れた視界の先に居る獅帥君を歪める。


「うっ…うっ…」


 私の泣く声だけが響くのがまた更に虚しくなる。

 すると、


「っ…何」


 目尻に何が触れる。


「…し、すい君?」


 細く長い指先の持ち主が私の涙を拭った。

 視界が明瞭となり、獅帥君の顔が見えた。

 熟れた柘榴の様な唇が動く。


「綴、謝るのは俺の方だ」

「え…」


 恐らく呆けた表情である私の顔を見て、苦笑いする獅帥君。

 眉尻を下げるその表情は、いつもの王様然とした獅帥君しか知らなかったら驚くだろう。私でもそんなに多くないから、思わず涙も止まる。

 傍に居る輝咲ちゃんも目を丸くしているからよっぽどだ。
 
 そして、


「惣倉に殺され掛けた時、」

「ええ!?」


 更に衝撃的な事を言った。

 惣倉君に殺され掛けた時?え、何があったの?惣倉君何したの?

 私の心配を他所に獅帥君は「怪我らしい怪我はしていない」と首を振った。


「そっか…」


 怪我して入院している間もお見舞いに来ていたし、惣倉君が本気出したら獅帥君だって無事じゃあ済まないだろう。

 ホッとしていれば、


「“お前を今此処で殺さない理由をよく考えろ”って言われて殴られた」


 殺さない理由?


 不思議な惣倉君の問い掛けに首を傾げる。