『どうしてそんなに驚いているんですか?貴方だって出来ていたらやっていたでしょう』
衝撃を受ける私に彼はさも当然だと言う。
『それは、』
『覚えあるんじゃないですか?』
静君の言葉に、天ヶ衣さんを殺し掛けた時の記憶が思い浮かんだ。
『…』
『あったんですね。それもそうか、あの天上の傍に居れば危険な事は幾らでもある』
自分の至らなさに項垂れるしかない。
先が分かっていたのに傍に居てくれたんだ…。
自分を、他人を犠牲にする覚悟が、惣倉君にはあったんだ。
なのに私は呑気に妃帥ちゃん達の傍に居て、1人で守らなきゃって思い込んで、結局惣倉君に全てを負わせた。
ずっと療養中考えていた。
自分だけじゃない誰かが傷つく。
きっと獅帥君達との関わりを続けていたら、今回の様に、目に見えた形で誰かを失う事がこれからも増えるだろう。
それに私は耐えられる?
愛していると胸を張って言えない癖して、自分と大切な人達が傷つく覚悟は出来ていたと本当に言える?
嫌いな自分なら耐えられたかもしれない。
けれどそれは、
『離れる俺に餞別を…俺に先輩を殺させて下さい』
暗闇で囁く彼が殺したから。
「耐えられない、耐えられないよ私は…」
これ以上身近に居る誰かが犠牲になる事に心は耐えきれない、無視し続けた私の心がそう叫んでいた。



