過つは彼の性、許すは我の心 肆



『どうしてそんなに驚いているんですか?貴方だって出来ていたらやっていたでしょう』


 衝撃を受ける私に彼はさも当然だと言う。


『それは、』

『覚えあるんじゃないですか?』


 静君の言葉に、天ヶ衣さんを殺し掛けた時の記憶が思い浮かんだ。


『…』

『あったんですね。それもそうか、あの天上の傍に居れば危険な事は幾らでもある』


 自分の至らなさに項垂れるしかない。

 先が分かっていたのに傍に居てくれたんだ…。

 自分を、他人を犠牲にする覚悟が、惣倉君にはあったんだ。

 なのに私は呑気に妃帥ちゃん達の傍に居て、1人で守らなきゃって思い込んで、結局惣倉君に全てを負わせた。

 ずっと療養中考えていた。

 自分だけじゃない誰かが傷つく。

 きっと獅帥君達との関わりを続けていたら、今回の様に、目に見えた形で誰かを失う事がこれからも増えるだろう。

 それに私は耐えられる?

 愛していると胸を張って言えない癖して、自分と大切な人達が傷つく覚悟は出来ていたと本当に言える?

 嫌いな自分なら耐えられたかもしれない。

 けれどそれは、


『離れる俺に餞別を…俺に先輩を殺させて下さい』


 暗闇で囁く彼が殺したから。


「耐えられない、耐えられないよ私は…」


 これ以上身近に居る誰かが犠牲になる事に心は耐えきれない、無視し続けた私の心がそう叫んでいた。