輝咲ちゃんは視線を不安そうな弟に戻した。
何だろう。
この不安感と、後もう一歩で真実に辿り着きそうなこの焦燥感。
ドクドクと心臓が鼓動する。
「でもその度に彼や子供達が私に全力で返してくれるの。私がもうお腹一杯!って言っても、これでもかって私に与えてくれるの。ああ例えの話よ?」
話している輝咲ちゃんは此処に居ない家族に想いを馳せる様に、獅帥君の手を撫でた。
手を見つめる輝咲ちゃんの面映る表情は此処の誰よりも美しく見える。
ーーー本当に輝咲ちゃんは変わったんだな。
元々綺麗な人だったんだけれど、自分の家族が出来てから磨きがかかった。
外面だけじゃない。
自分が行く道こそが正しいさあ後ろをついて来い!って感じだったのに、今は大事な人達と知らない道を一緒に並んで歩む事を心から楽しんでいる。
他人に変えられる事を天上輝咲が望む。
ただ輝咲ちゃんがそう変われたのはーーー…。
「私がこう変われたのはーーー彼が、あの子達が、私を無理に変えずに、ありのままを愛してくれたから」
ありのままを愛してくれたから。
ストンと胸に何かが落ちて来た。
胸が、
「ねえ獅帥気付いている?きっと私に諭した時の綴なら、こんな時でもお構い無しにズケズケ言っていた筈よ。でも獅帥、」
「…つ、づり」
苦しい…。



