そう言った表情に獅帥君がなるのも分かる。
何せ呼び掛けた輝咲ちゃんが、
「ねえ獅帥」
しゃがみ込んで獅帥君の手に、自分の手を合わせて弟を見上げていたから。
柳眉を寄せる獅帥君に、穏やかにそんな弟を見守る輝咲ちゃん。
そして、
「貴方の愛は綴を本当に幸せにしていると、胸を張って言える?」
遂に獅帥君を動揺させた。
いや、
「…な、」
言葉を詰まらせる獅帥君に私まで動揺する。
「獅帥責めている訳じゃないわ…私だって夫を愛する様になってから考える様になったの。彼は私に愛される事で幸せなのかって」
ふふっと笑う輝咲ちゃんは「笑えるでしょう?この私が」と、先程の苦笑いではなく、幸せそうで、遠くの誰かを思う様な目で窓の外に視線をやった。
愛。
深く考えた事がなかった。
同情ではない。
でも2人の傍に居る理由について、私はこれが愛なのかと言われれば…。
「彼の家も特殊だけどね、家族仲は良かったみたいで、付き合ってから夫婦になるまでの間、こう言うのが普通の家族なんだって驚く事も多かったの」
「…」
「普通って何?私は私よって思っていたし、普通なんて居たい相手と作ればいいからって今でも思うけれど、不思議よね。愛せば愛す程不安になるのよ、子供が居れば尚更で、私は彼等にとって良い妻で母になれているのかって」



