私がうんとさえ頷けばこの人は実行しかねない。
まただ。
また私の手の及ばない所で、何かが決められて行く。
自分の事なのに。
俯いた先のスカートをギュッと握る。
本当にそれでいいの?
『時には安全だと思える場所に逃げてもいい。戦えないと思えば誰かの力を借りて一緒に戦ってもいい。人との調和を重んじ、誰かの気持ちに寄り添う。それが先輩の強さです。先輩が先輩らしく有り続ければ、周囲も力を絶対に貸してくれる』
今のこの状況、私らしいって言える?
惣倉君が今の人生を捨てでも、私を助けてくれたのにまた流されるの私?
流された末にまた怖い自分になる?
でも、
『離れる俺に餞別を…俺に先輩を殺させて下さい』
あの時の私はもうーーー…。
「綴」
ふと呼ばれて顔を上げれば、何かを言い辛そうにしている獅帥君が隣で私を見ていた。
「獅帥君?」
「…」
顔色少し悪い気がする。
急にお腹でも痛くなったのかと「大丈夫?具合悪い?」と伺う様に獅帥君の顔を覗き込もうとしてーーーバンッ!
「…ど、どうしたの?」
机を思いっ切り叩いた音に目を丸くしながら、音の発信源である彼女…立ち上がった輝咲ちゃんを見た。
「どうしたの?じゃないでしょう」
ひえ。
何故かギロリと睨まれたので、開いた口を閉じざる得なかった。



