過つは彼の性、許すは我の心 肆



 私がうんとさえ頷けばこの人は実行しかねない。

 まただ(···)

 また私の手の及ばない所で、何かが決められて行く。

 自分の事なのに。

 俯いた先のスカートをギュッと握る。

 本当にそれでいいの?


『時には安全だと思える場所に逃げてもいい。戦えないと思えば誰かの力を借りて一緒に戦ってもいい。人との調和を重んじ、誰かの気持ちに寄り添う。それが先輩の強さです。先輩が先輩らしく有り続ければ、周囲も力を絶対に貸してくれる』


 今のこの状況、私らしいって言える?

 惣倉君が今の人生を捨てでも、私を助けてくれたのにまた流されるの私?

 流された末にまた怖い自分になる?

 でも、

 
『離れる俺に餞別を…俺に先輩を殺させて下さい』


 あの時の私はもうーーー…。


「綴」


 ふと呼ばれて顔を上げれば、何かを言い辛そうにしている獅帥君が隣で私を見ていた。


「獅帥君?」

「…」
  

 顔色少し悪い気がする。

 急にお腹でも痛くなったのかと「大丈夫?具合悪い?」と伺う様に獅帥君の顔を覗き込もうとしてーーーバンッ!


「…ど、どうしたの?」


 机を思いっ切り叩いた音に目を丸くしながら、音の発信源である彼女…立ち上がった輝咲ちゃんを見た。


「どうしたの?じゃないでしょう」


 ひえ。

 何故かギロリと睨まれたので、開いた口を閉じざる得なかった。