血のベッタリついた器具を持った男に、待ったを掛ける。
「今更。もう分かるだろうこれ見たら」
「ど、どうしてお前が!俺にこんな事!」
惣倉の家の者だと言う事は知っていた。
それでも惣倉喜影や帷有墨に比べれば小さな存在だと思っていたが、今その2人に比べて恐ろしい存在である事を肌に感じさせられているこの状況で、黙っている事なんて出来なかった。
「はあ…」
「っ…」
俺の事を見て面倒そうに溜息を吐く。
全身でビクつく自分に、無表情で俺を見る恐ろしいナニカ。
「…ま。もっと怖がらせた方がいいか」
男は片手でスマホを俺の前に突き出した。
とある記事だ。
医療界でも名を連ねる男が殺害されたと言う。
名前を見て驚愕した。
「そ。アンタが首突っ込んだ問題に、口出ししていた男ね。俺がやったから」
「っ…嘘だろ、」
もしこの男が死んでいるとしたら大きな騒動となった筈だし、自分の耳にも届いていた筈。
「大きな事件として扱われていないからアンタの耳に入らなかったんだろう」
「そんな訳ねえだろう!」
「俺が関わっているから口を噤む事に決めたんだろうなあ」
クルクルと男の回す器具が、光に反射して目が眩む。
「っお前が関わっているからって一体、」
何の意味がと言い掛けて、男をもう一度見たら…全身に緊張が走った。



