過つは彼の性、許すは我の心 肆



 その日は少しだけ落ち着かなかった。

 元々あった争いの種に自分が芽吹く様に介入した。

 そして、ニュースを見て自分の勝ちを確信した。

 ああ早く俺に吉報を。

 そんな風に思って海外でいつも通り豪遊し、女を引っ掛けて、海外では緩い酒に薬に身を投じて、心からその一報を待っていた、が。


「あー起きました?」


 椅子に縛り付けられた状況で吉報が無い事だけは分かっていた。

 どうなっている?

 此処は何処なんだ?

 目だけを動かして自分の置かれている状況を確認しようとするが、分かるのは美女と一緒に眠っていたベットと全く違う事だけ。

 しかも目に見えている全てに不安が煽られる。

 コンクリート造りの部屋、自分の周囲を中心に覆われている透明なシートに、男の近くにある机の上に並べられている謎の器具。

 ぼんやりとする頭でその器具を見ようとして、ぞわぞわと身体中から恐怖が這い上がる。

 視力は良い方だ。

 先端の尖った器具。

 そのどれにも血がこびり付いている。


「此処は誰にも気付かれない場所。だから叫んでいい」

「な、んだよ。お前」

「ああ、俺の事?アンタが殺したがっていた女の後輩」


 そう言われて気付く。

 そうだあの女。

 唐堂綴の周囲を調査した時にーーー…。


「自己紹介はいらないか。じゃあ始めよう、」

「待てよ!」