その日は少しだけ落ち着かなかった。
元々あった争いの種に自分が芽吹く様に介入した。
そして、ニュースを見て自分の勝ちを確信した。
ああ早く俺に吉報を。
そんな風に思って海外でいつも通り豪遊し、女を引っ掛けて、海外では緩い酒に薬に身を投じて、心からその一報を待っていた、が。
「あー起きました?」
椅子に縛り付けられた状況で吉報が無い事だけは分かっていた。
どうなっている?
此処は何処なんだ?
目だけを動かして自分の置かれている状況を確認しようとするが、分かるのは美女と一緒に眠っていたベットと全く違う事だけ。
しかも目に見えている全てに不安が煽られる。
コンクリート造りの部屋、自分の周囲を中心に覆われている透明なシートに、男の近くにある机の上に並べられている謎の器具。
ぼんやりとする頭でその器具を見ようとして、ぞわぞわと身体中から恐怖が這い上がる。
視力は良い方だ。
先端の尖った器具。
そのどれにも血がこびり付いている。
「此処は誰にも気付かれない場所。だから叫んでいい」
「な、んだよ。お前」
「ああ、俺の事?アンタが殺したがっていた女の後輩」
そう言われて気付く。
そうだあの女。
唐堂綴の周囲を調査した時にーーー…。
「自己紹介はいらないか。じゃあ始めよう、」
「待てよ!」



