兄に何があったのか聞いてみたが言葉を濁すだけで教えて貰えなかった。
それでもポツリと。
『…俺が綴に甘え続けたから殴りたくなったんだろうな』
腫れた頬を触りながら獅帥が言った言葉で、大体何があったのかを察した。
ーーー今まで天條と言う大きな歯車を回す為に機械の様に生きて来た獅帥。
自分なんかどうでもいい。
それを地で行く上に、甘えるなんて今までの人生で無かっただろう兄が、そう自分を評するなんて…。
それこれもあの子が根気強く獅帥に寄り添い続けて、獅帥も気付かない痛みに気付いてくれたから。
あの人が私達の傍から消えた時からあり得る訳ないと思っていたのに。
これは奇跡なのだ。
だからこそ私は戦わないといけない。
形振りは構ってられないし、使えるモノなら何でも使う。
初めからそれは決めていた事。
瞼を閉じる。
死神が言っていた事が事実だったと知った時は流石に青褪めた。
正直そのショックのせいで具合が悪くなった程で、兄やあの子にこんな気持ちを毎回させていたのか思い知らされた。
いつも笑顔で私に笑い掛けていた傷だらけで眠るあの子を見るのは、身体にも精神にも良くない。
絶対にもうあってはならない。
兄やあの子が泣く未来を作らない為に。



