その恋、仕様外につき――鉄壁SEは御曹司の暴走を許さない


 怜がお通しのポテトサラダをつついていると、瀬戸がジョッキを置いて身を乗り出してきた。

「そう言えばさ、真壁。聞いたぞ、あの帝国の全館認証システムダウン、西園寺課長がたった一時間で復旧させたって話。あれ、事実(マジ)なのか?」
「……まあ、事実だけど」
「何があったか、詳しく聞かせろよ。情シスが三日かかるって言ったデッドロックだったんだろ? どうやって解いたんだ?」

 怜はピタリと箸を止める

「……それ、どこから聞いたの?」
「どこって、帝国のグループ会社の保守担当からだよ。『お宅の信任課長はすごいですね、皆さんあんなことができるんですか?』って嫌味っぽく聞かれてさ。いやいやできるわけないだろって思いながら、『恐縮です』って営業スマイルで答えといたわ」
「……何その社員。口、軽すぎ」

 怜は呆れた。
 しかし、事象を話すだけならセキュリティ違反にはならないか、と自分を納得させる。瀬戸は普段適当だが、技術に関しては貪欲だ。その瞳に、エンジニア特有の知的好奇心が宿っている。

 怜はあの日のことを、端的に説明することにした。