突如放たれた言葉に、怜は思わず問い返した。
いったい、何がいい加減だと言うのか。仕様は完璧なはずだ。
「君の上司のことだ。君は会議の始めに、『責任者は後で合流する』と説明したね? だが、その責任者は未だにこの場に姿がないようだが」
「……それは」
「いい加減なのは、君の上司か? それとも君自身か? どれほど精緻な地図を描こうとも、それを運ぶ男が、体調管理一つできないような無責任者であるなら、私はその旅路を帝国に強いることはできない。……反論はあるか?」
「――ッ」
怜は絶句した。
確かに、怜は会議の開始直後に、「西園寺は後で来る」と言ってしまっていた。だが、結局、一時間が過ぎた今も、景はやってこない。赤木もだ。
つまり、九条の言うことは正しい。何一つ、間違っていない。
――でも、でも。
「本日の会議はここまでだ。出直してきなさい」
「……そんな」
怜は唇を噛み締めた。
つい先ほどまで熱狂に浸りかけていた会議室が、まるでお通夜同然に静まり返る。
すぐ隣には、顔を真っ青にして立ち尽くす、佐藤の姿。
(……駄目。ここまできて、帰るなんてできない。……西園寺景、あなた、一体どこをほっつき歩いているのよ……!)



