期末テスト一日目。
教室は、いつもより少し静かだった。
みんなそれぞれ最後の確認をしていて、
ページをめくる音だけがやけに響く。
私は、前の席に座って、
なんとなく後ろを振り返った。
「おはよ」
かおるは、いつも通りの落ち着いた声で言う。
「おはよ」
少しだけ安心する。
やっぱり、この感じ。
「今回、やばくない?」
「やばい。全部やばい。」
「それ毎回言ってる」
小さく笑う。
そのやりとりも、いつも通りで。
でも、なんとなく——
昨日のことを思い出す。
図書館での恋バナ。
あゆと、みおと、私。
「そういえばさ」
私は、何気なく口を開いた。
「みおの好きな人、知ってる?」
かおるが、少しだけ首をかしげる。
「んー、なんとなくは」
やっぱり。
そう思いながら、
軽い感じで、言った。
「久保田らしいよー」
その瞬間。
ほんの一瞬だけ。
本当に一瞬だけ、
かおるの表情が止まった気がした。
「……あー」
少し間をおいて、
「そーなの。やっぱそーよね笑」
明るく、いつも通りみたいに笑う。
でも。
その笑い方が、ほんの少しだけぎこちなくて。
メガネの奥の目が、
いつもより静かで。
——あれ?
胸の奥が、ざわっとする。
今の、なんか違った。
うまく言えないけど、
いつものかおるじゃない。
「どうしたの?」
思わず聞きそうになって、
でも、やめた。
テスト前だし。
気のせいかもしれないし。
「てかテストやばいんだけど」
代わりに、そんなことを言う。
「それはほんとにやばい」
かおるも、すぐに返してくる。
いつも通りの会話。
いつも通りのテンポ。
なのに、
さっきの表情が、頭から離れない。
——もしかして。
そこまで考えて、
やめる。
違うかもしれない。
考えすぎかもしれない。
そう思いたかった。
「じゃ、がんばろ」
「がんばろ」
チャイムが鳴る。
テスト用紙が配られる。
問題を見る。
——なのに。
全然、頭に入ってこない。
さっきの、かおるの顔。
あの一瞬の“曇り”が、
ずっと残ってる。
ペンを持つ手が、少し止まる。
——なんで、あんな顔してたの。
答えの出ないまま、
時間だけが過ぎていった。
教室は、いつもより少し静かだった。
みんなそれぞれ最後の確認をしていて、
ページをめくる音だけがやけに響く。
私は、前の席に座って、
なんとなく後ろを振り返った。
「おはよ」
かおるは、いつも通りの落ち着いた声で言う。
「おはよ」
少しだけ安心する。
やっぱり、この感じ。
「今回、やばくない?」
「やばい。全部やばい。」
「それ毎回言ってる」
小さく笑う。
そのやりとりも、いつも通りで。
でも、なんとなく——
昨日のことを思い出す。
図書館での恋バナ。
あゆと、みおと、私。
「そういえばさ」
私は、何気なく口を開いた。
「みおの好きな人、知ってる?」
かおるが、少しだけ首をかしげる。
「んー、なんとなくは」
やっぱり。
そう思いながら、
軽い感じで、言った。
「久保田らしいよー」
その瞬間。
ほんの一瞬だけ。
本当に一瞬だけ、
かおるの表情が止まった気がした。
「……あー」
少し間をおいて、
「そーなの。やっぱそーよね笑」
明るく、いつも通りみたいに笑う。
でも。
その笑い方が、ほんの少しだけぎこちなくて。
メガネの奥の目が、
いつもより静かで。
——あれ?
胸の奥が、ざわっとする。
今の、なんか違った。
うまく言えないけど、
いつものかおるじゃない。
「どうしたの?」
思わず聞きそうになって、
でも、やめた。
テスト前だし。
気のせいかもしれないし。
「てかテストやばいんだけど」
代わりに、そんなことを言う。
「それはほんとにやばい」
かおるも、すぐに返してくる。
いつも通りの会話。
いつも通りのテンポ。
なのに、
さっきの表情が、頭から離れない。
——もしかして。
そこまで考えて、
やめる。
違うかもしれない。
考えすぎかもしれない。
そう思いたかった。
「じゃ、がんばろ」
「がんばろ」
チャイムが鳴る。
テスト用紙が配られる。
問題を見る。
——なのに。
全然、頭に入ってこない。
さっきの、かおるの顔。
あの一瞬の“曇り”が、
ずっと残ってる。
ペンを持つ手が、少し止まる。
——なんで、あんな顔してたの。
答えの出ないまま、
時間だけが過ぎていった。


