青春×6

その日も、いつも通り。

ベッドに寝転びながら、
なんとなくスマホを開く。

——久保田

『今日の体育しんどかった』

『それな』

『走らされすぎ』

『見てたけど普通に頑張ってたじゃん』

『見てたの』

『たまたまね』

そんな、いつも通りのやりとり。

少し間が空いて、

ぽんっと通知が来る。

『恋音ってさ』

珍しく、少しだけ間のある文。

『なに?』

『気になる人とか、いんの?』

一瞬、指が止まる。

……気になる人。

頭の中に、ふと浮かぶ顔。

笑ってるときの感じとか、
ちょっとふざけた言い方とか。

『んー』

どうしよ、って少し迷って。

でも、久保田だし。

変に隠す必要もないか、って思った。

『加戸とか?』

送ったあと、少しだけドキッとする。

数秒後。

『“とか”ってなに』

思わず笑う。

『わかんないけど笑』

『気になるってどんな感じ』

そう聞かれて、

少しだけ考える。

『普通に話してて楽しいし』

『なんか、気づいたら見てるし』

『LINEしてるときも楽しいけど、学校で話すほうがいいなって思う』

打ちながら、

なんとなく、自分の言葉に引っかかる。

あれ。

これ、なんか——

『それ』

久保田から、すぐに返信が来る。

『好きってことじゃん』

一瞬、時間が止まったみたいだった。

画面を見つめる。

その一言が、やけに真っ直ぐで。

ごまかしも、冗談もなくて。

『……え』

思わず、それだけ送る。

『いや、完全にそうでしょ』

『気づいてなかったの?』

心臓が、少しうるさくなる。

好き。

その言葉が、頭の中でゆっくり広がる。

『……わかんない』

正直に、そう打つ。

『でも、』

少し考えてから、

また文字を打つ。

『顔見たいって思った』

送った瞬間、

自分でびっくりする。

あの日、思ったこと。

そのまま、言葉にしていた。

少し間があってから、

返信が来る。

『それはもう確定』

『好きです』

断定。

迷いゼロ。

思わず、笑ってしまう。

でも、

否定できなかった。

胸の奥が、じんわり熱くなる。

——ああ、そっか。

これ。

やっぱり、

そうなんだ。

好き、なんだ。

初めてちゃんと名前がついた気持ちは、

思っていたよりも、静かで。

でも、確かにそこにあった。