青春×6

期末テスト、最終日。

最後のチャイムが鳴った瞬間、

「終わったーー!」

教室が一気に明るくなる。

「解放感やばい」

「なにも考えたくない」

そんな声を聞きながら、

私も小さく息を吐いた。

やっと終わった。

でも、

頭の中は、なぜか少しだけ落ち着かないまま。

家に帰って、

ベッドに寝転びながらスマホを開く。

——久保田

『おつかれ』

『おつかれー』

少しだけ間をあけて、

ふと思いついたみたいに、打つ。

『ちょっとまじで久保田の好きな人知りたいから』

『まじで告ってくる』

送信。

すぐ既読がつく。

でも——

返信が、来ない。

「……あれ?」

珍しい。

いつもなら、もう返ってきてるはずなのに。

スマホを見つめる。

数秒。

十秒。

もう少し。

——長い。

少しだけ、不安になる。

そのとき。

ぽん、と通知が来た。

『恋音。』

『んー?』

すぐに返す。

また少し間があって、

次のメッセージ。

『俺、恋音のことが好きです。付き合ってください。』

——え。

一瞬、思考が止まる。

え?

え?

……は?

画面を見つめたまま、動けない。

心臓が、一気に速くなる。

なにこれ。

どういうこと。

さっきの流れで、なんで。

頭が追いつかない。

とりあえず、

指が動いていた。

『え?』

それだけ送る。

すぐに返信が来る。

『うそ告だよ』

……あ。

なんだ。

びっくりした。

本気で、びっくりした。

少しだけ、息を吐く。

でも、

さっきのドキドキが、まだ残ってる。

『だよね笑』

そう返す。

できるだけ、いつも通りに。

何もなかったみたいに。

少しだけ、引っかかるものはあったけど。

——まあ、いっか。

考えるの、めんどくさいし。

スマホの画面を閉じる。

そのまま、ベッドに沈み込んだ。

その頃。

——久保田

送信した画面を、ずっと見ていた。

『うそ告だよ』

その一言が、

やけに軽く見える。

「……やべえ」

小さくつぶやく。

勢いで、送った。

完全に、勢いだった。

「……言っちゃった」

心臓が、うるさい。

画面の向こうからの反応が、

怖くて、でも気になって。

『だよね笑』

その返信を見た瞬間、

少しだけ、肩の力が抜ける。

「……よかった」

バレてない。

たぶん。

普通に受け取ってる。

恋音なら、そのまま流す。

そう思う。

でも。

「……なんであんなこと言ったんだろ」

自分で、自分がわからない。

ただ、

あのとき。

『告ってくる』って言われた瞬間。

なんか、嫌だった。

その理由は、

考えたくなくて。

スマホの画面を閉じる。

でも、

しばらく眠れなかった。