期末テスト、一日目の夜。
机に向かっていたはずなのに、
気づけばスマホを手に取っていた。
——久保田
『今日のテストどうだった?』
『無理』
『早』
思わず笑う。
『そっちは?』
『まあまあ』
『絶対できてるやつじゃん』
『どうだろ』
いつも通りのやりとり。
少しだけ、安心する。
「……あ」
ふと、思い出す。
そういえば。
『久保田ってさ』
少し間をあけて送る。
『なに』
『好きな人いないの?』
既読がつく。
でも、少しだけ返信が遅い。
『まあ、一応?』
その一言に、
思わず体を起こす。
『え、いるの!?』
『いる』
『誰?』
『言わない』
即答。
『えーなんで』
『なんとなく』
『気になるんだけど』
『やだ』
ちょっとしたやりとり。
でも、なんか楽しくて。
『ヒントとか!』
『ない』
『ケチ』
『別に』
しばらく続く、“教えてくれない攻防”。
画面を見ながら、少しだけ考える。
『じゃあさ』
『なに』
『何したら教えてくれる?』
少しの間。
既読はついてるのに、返信が来ない。
——考えてる?
その時間が、なんとなく長く感じる。
そして、
ぽん、と届いた。
『恋音が加戸と付き合ったら』
一瞬、止まる。
……なにそれ。
思わず笑う。
『なにそれ笑』
『別に』
『ハードル高すぎでしょ』
『じゃあいい』
いつもの、ちょっとした冗談みたいな空気。
たぶん、深い意味はない。
でも。
——まあ、いっか。
軽いノリで、打つ。
『おっけー』
送信。
そのままスマホを置いて、
ベッドに転がる。
少しだけ、心臓がうるさい。
でも、
「……無理でしょ」
小さくつぶやいて、
目を閉じた。
その頃。
——久保田
『おっけー』
画面に表示された一言を見て、
固まる。
「……え」
思わず声が出る。
おっけー?
いや、え?
冗談で言っただけなんだけど。
普通に流されると思ってたのに。
「……まじ?」
スマホを見つめる。
さっきまでの軽いやりとりが、
一気に現実味を帯びる。
「いやいやいや」
頭をかく。
落ち着け。
あれは、ただのノリ。
深い意味なんて——
「……え、やるの?」
ぽつりとつぶやく。
自分で言ったはずなのに、
急に怖くなる。
もし、本当に。
あいつが、
加戸と付き合ったら。
そのとき、自分は——
そこまで考えて、
やめた。
「……何考えてんだろ」
小さく息を吐く。
でも、
スマホの画面は消せなかった。
机に向かっていたはずなのに、
気づけばスマホを手に取っていた。
——久保田
『今日のテストどうだった?』
『無理』
『早』
思わず笑う。
『そっちは?』
『まあまあ』
『絶対できてるやつじゃん』
『どうだろ』
いつも通りのやりとり。
少しだけ、安心する。
「……あ」
ふと、思い出す。
そういえば。
『久保田ってさ』
少し間をあけて送る。
『なに』
『好きな人いないの?』
既読がつく。
でも、少しだけ返信が遅い。
『まあ、一応?』
その一言に、
思わず体を起こす。
『え、いるの!?』
『いる』
『誰?』
『言わない』
即答。
『えーなんで』
『なんとなく』
『気になるんだけど』
『やだ』
ちょっとしたやりとり。
でも、なんか楽しくて。
『ヒントとか!』
『ない』
『ケチ』
『別に』
しばらく続く、“教えてくれない攻防”。
画面を見ながら、少しだけ考える。
『じゃあさ』
『なに』
『何したら教えてくれる?』
少しの間。
既読はついてるのに、返信が来ない。
——考えてる?
その時間が、なんとなく長く感じる。
そして、
ぽん、と届いた。
『恋音が加戸と付き合ったら』
一瞬、止まる。
……なにそれ。
思わず笑う。
『なにそれ笑』
『別に』
『ハードル高すぎでしょ』
『じゃあいい』
いつもの、ちょっとした冗談みたいな空気。
たぶん、深い意味はない。
でも。
——まあ、いっか。
軽いノリで、打つ。
『おっけー』
送信。
そのままスマホを置いて、
ベッドに転がる。
少しだけ、心臓がうるさい。
でも、
「……無理でしょ」
小さくつぶやいて、
目を閉じた。
その頃。
——久保田
『おっけー』
画面に表示された一言を見て、
固まる。
「……え」
思わず声が出る。
おっけー?
いや、え?
冗談で言っただけなんだけど。
普通に流されると思ってたのに。
「……まじ?」
スマホを見つめる。
さっきまでの軽いやりとりが、
一気に現実味を帯びる。
「いやいやいや」
頭をかく。
落ち着け。
あれは、ただのノリ。
深い意味なんて——
「……え、やるの?」
ぽつりとつぶやく。
自分で言ったはずなのに、
急に怖くなる。
もし、本当に。
あいつが、
加戸と付き合ったら。
そのとき、自分は——
そこまで考えて、
やめた。
「……何考えてんだろ」
小さく息を吐く。
でも、
スマホの画面は消せなかった。


