「どうしてアイツを見たの?」
ハチミツのようにとろけた声。
けれど、私を射抜く赤い瞳はとても鋭い。
「…普通見るわよ。この部屋に入って来たんだから」
私はルーカスに、「他意はない」と呆れたように肩を落とした。
同性であるアリアに対してあれなルーカスだ。
異性に対してはさらにその嫉妬は深く、厳しくなる。
「そうだね。確かに誰かが部屋に入って来たら、誰だってそこに視線を奪われるものだ。こちらのミスだ」
ふふ、と納得したように微笑むルーカスだが、やはりどこか暗く冷たさを帯びている。
ただ異性と目が合っただけでこれだ。
しかも最悪なのが…。
「まさかこの屋敷にそんなこともわからない者がいるとは思いもしなかったよ。教育不足だね。アイツはクビだ」
「…ルーカス」
これである。
にこやかなルーカスに、こめかみをグッと抑える。
それから一息つくと、キッとルーカスを睨みつけた。



