変わらぬルーカスに、それでも私は諦めなかった。
さらに次の一手を講じることにした。
私が次に考えたのは、私が作ったものをたくさん渡すということだった。
まずはルーカスをイメージした紋章を考え、それをあらゆるものに刺繍し、ルーカスに渡した。
ハンカチ、服、鞄、布のブックカバー。
思いつく限り、できる範囲で刺繍を続け、完成するたびにルーカスに贈った。
こんなにも渡されればさすがにルーカスも困惑……するわけもなく。
ルーカスはなんと一流のデザイナーでもない、一流の針子でもない、素人貴族の作品をどんどん身につけ始めたのだ。
ルーカスの美しさと私の作品はあまりにもアンバランスだった。
完璧なルーカスに、微妙な出来の私の作品は異質すぎたのだ。
どんどん私が作ったモチーフだらけになり、気品がなくなっていくルーカスについに辛抱たまらず、私が折れた。
そんな私にルーカスは「どうしてもう作ってくれないのかな?次はこれにも刺繍して欲しいのだけど」と不満顔で言ってきた。
私はもう満身創痍だった。
それでも…それでも…ここで諦めるわけにはいかなかった。
もういっそのこと、周りに実害を出してやる!
そうすれば、さすがのルーカスも良心が痛むはずだ!
そう思って、ある日男の従者と何やら話していたルーカスに詰め寄った。
「私以外と話さないで!アイツはルーカスと話していたわ!クビよ!クビ!」と。
さすがにこれには…と、心の中でほくそ笑んだが、ルーカスは瞳を輝かせた。
嫌な予感がする瞳だった。



