その後も私はあの手この手でルーカスに迫り、わからせようとした。
まずは毎日の監視の徹底だ。
腕輪の機能をフルに使い、ルーカスと同じように、私もルーカスの様子をできるだけ見続けた。
そしてルーカスが「会いたい」と漏らそうものなら、転移魔法で飛んで現れるようにした。
…が、毎日最低10回はそう呟くので、次第に顔色の悪くなり始めたお父様に申し訳なく感じ、だんだん転移魔法を使う回数を減らした。
しかし転移魔法を使わないだけで、会いに行くことはやめなかった。
少々時間はかかるが自分の足で、私は何度も何度もルーカスの元へと押しかけた。
ただ思ったことを口にしただけで、私があの手この手でルーカスの前に現れる。
嬉しいと思う反面、ずっと見られていることへの息苦しさも感じるだろう。
…そう思っていたのだが。
ルーカスは何度私が現れても、大変喜び、あらゆることを放棄して、私を優先した。
さらには自分の足でも訪れる私に「もっと早く会いに来て欲しい」と言い、なんとヴァレンタイン公爵家の力で、我が家に新たな転移魔法が展開されることになったのだ。
ルーカスは私がいつでも見ていることをいいことに、私に会いたくなるとすぐに「会いたい」と言うようになった。そしてその度に私は何度も何度もルーカスの元へと向かった。
ルーカスはこの状況に、大変嬉しそうにしていた。
息苦しさを感じているようには全く見えなかった。
同じではダメなのだ。
ルーカスの上をいかなければ、ルーカスをわからせることなど到底出来ない。
そこで私は次の行動に出た。
ルーカスが私との会話の中で、ふと話したクッキーを毎日ルーカスに作ってあげてみたのだ。
最初は嬉しいだろうが、毎日は困惑するだろうし、何より飽きてしまうだろう。
今度こそ、この重たさに息苦しさを感じるはずだ。
そう期待していたのだが、毎日毎日クッキーを持ってくる私を見ても、ルーカスは初めての時のように頬を綻ばせ、幸せそうにそれを受け取った。
だんだん毎日作る私の方が疲れてきて、渡さない日が増えると、逆にルーカスは私のクッキーを「ねぇ、今日もないのかな?」と甘い顔で催促するようになった。



