言えない。言わない。

午後の雨は、まだ静かに降っていた。


月乃・雫「ただいまー!!!」


月乃ママ「おかえりー!」


月乃ママ「雨降ってきたでしょ!?大丈夫だった?」


タオルで二人の髪をぽんぽん拭いた。


月乃ママ「しーちゃん、ママお迎え来てるよ!」


リビングの方から声がした。


雫ママ「おかえり!」


雫は靴を脱ぎながら顔を上げる。


雫ママ「濡れたんじゃない?」


雫「ううん。そんなに濡れてない。」


雫は手に持っている傘を見る。


雫「知らない子に、傘借りちゃった。」


雫ママ「あら。」


少し驚いたあと、やさしく笑う。


雫ママ「よかったね。」


雫ママ「優しい子だね。」


雫「……うん。」


雫ママ「今度、返しに行こうか。」


雫は小さくうなずいた。