言えない。言わない。

帰り道。

夕方の光が、道を長く染める。

雫がぽつりと言った。


雫「れお、顔に出てる」


玲央「なにが」


雫「ふふっ、なんでもない」


それ以上は言わない。

月乃は少し前を歩いている。

時々振り向いて


月乃「ちゃんと来てる?」


玲央「来てる」


それだけで足取りが軽くなった気がした。





夜。

窓を開けると、風が少し冷たい。

月乃の部屋の灯りがついている。

玲央は空を見る。

見えるところにいてほしい。

それだけ、強く思った。

理由は、まだうまく言えない。