僅かな距離

教室を出た後も、陽依の鼓動はなかなか落ち着かなかった。

腕の中に抱えたプリントはそれほど重くないはずなのに、今はやけに重たく感じる。

廊下を歩く月城の背中を、少し離れた場所から追いかける。

近すぎるのは嫌だった。

でも離れすぎるのも不自然な気がした。

そんなことばかり考えてしまう。

きっと普通の人なら何も気にしない距離なのに。

陽依は一歩歩くたびに緊張していた。

職員室が近づく。

それだけで胸が苦しくなる。

本当は聞いてほしい。
でも聞かれたくない。

そんな矛盾した気持ちが心の中でぐちゃぐちゃに絡まっていた。