僅かな距離

「月島。」

突然名前を呼ばれる。

陽依はびくりと肩を震わせた。

反射的に顔を上げる。

教室の前方。

そこに立っていたのは月城だった。

いつの間にか他の生徒との話を終えていたらしい。

「職員室までプリント持ってきてくれるか。」

ごく普通の頼み事だった。

クラス委員や係の生徒によく頼むような仕事。

特別な意味なんてないはずだった。

なのに。

陽依は言葉が出なかった。

ただ月城を見つめる。

月城も少し不思議そうな顔をする。